ブレーキングマジシャンもどき 最近やたらと皆が刺激するものだから、大好きなケヴィン・シュワンツを三度作ってしまったよ、気の向くままに。 ブレーキングマジシャン。 彼の長いグランプリキャリアにおいて、何度となく我々の目を釘付けにしたこの類稀なテクニック。 1991年だったか。 レギュレーション変更で車両重量の引き上げが行われたこの年、軽い車体を最大の武器にしていたスズキRGV−γはいたるところにダミーウェイトをぶら下げて、シーズン前からかなりの苦戦が予想されていた。 迎えた開幕戦、鈴鹿。ケヴィン、ミック、ウェイン、ジョンの四台による壮絶な接近戦。最終ラップまでもつれ込んだ壮大なバトルを制したのは最後のシケイン、彼のブレーキングだった。 そして今でも多くの人に語り継がれる第6戦ドイツGP。パーフェクトだったウェインをパッシングしたシーン。ストレートエンドの右コーナー。ウェインの内側であらゆる方向にに激しく跳ねるRGVーγ。今にも飛んでいきそうなバイクを彼の奇跡のブレーキングが包み込む。 真っ先に大歓声の中に飛び込むケヴィン。 ブレーキング、マジシャン。 彼の前を走るものはことごとく、その魔法にかけられた。
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